干支張り子ができるまで(叶 羽衣辰編)
残暑続く中ハリコオンラインにお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
ハリコオンラインは早くも来年度の干支張り子をリリース開始しましたが、はりこ屋中の人にとっては遡ること一年前の話になるわけでございます。
今回は発売された干支のなかから「叶 福結び辰」の企画段階の裏話を少しお伝えしようかと思います。ご購入された方もそうでない方も楽しんでお読みいただけますと幸いです。
■張り子を産む
昨今の自由な時代の流れとでも言いましょうか様々な張り子人形がが創られております。張り子細工は民芸からの流れで、何らかの縁起や意味を伴って創られることも多く私どものデザイン・製作する干支の張り子につきましてもこのような事を踏まえて張り子クリエイターが頭を悩ませながら考えて草案を作ります。
■福結びという張り子
卯年の干支で「叶 福結び 卯」という干支がございました。干支商品は季節ものですので、生産数量を決めて製作し基本的には再生産しない季節商品(一部通年販売もございます)ですので現在は販売致しておりません。昨今の事情で年々張り子の価格も高騰していて申し訳ない限りでございますが、こちらの雰囲気やカテゴリー、シリーズ感を持った張り子の辰年バージョンをクリエイターとして提案したのがこの提案書です。
前回は「福結び」というテーマもあり、ウサギのフォルムをハートに見立てて背中に「叶結びの組紐」を添えました。うさぎという愛らしい動物というのも相まって様々なお客様に受け入れていただける商品に仕上げることができました。しかし今回は伝説というか、空想というかそういった生き物ですし、どこか男性的なので頭を悩ませた次第です。
悩みつつも作り上げた粘土原型作がこの企画・提案書の画像のものです。(結局押し通しました 笑)
■名前と縁起と板の色は…?
羽衣を辰にふわりと纏わせたいと思ったのは、デザイン的に細くなってしまう辰の絵面を柔らかく表現したい思いと女性的な柔らかさを同時に取り入れたい気持ちがあったからです。世界中にある「羽衣伝説」、さまざまな湖に残る「辰(竜)」の伝説。飛翔感のある辰にこれらを盛り込みました。福々しく丸く、ころっとしたデザインの多い張り子の中で少し異質なデザインなので社内では評価が二分しギリギリまで商品かするかわからなかった張り子の一つです。ですので、この段階では張り子化せず、粘土原型に着色して撮影しています。
■絵付けやカラーリング
製品版はほぼ左の配色・絵付けになりましたが、丸板は赤艶板となりました。製作担当するクリエイターのそれぞれの持ち味や経営陣の目線、お客様との会話の中で得られた事を盛り込んで最終決定したのが発売中の干支張り子「叶 福結び辰」です。